光と造形を感じる心休まる場 – 「東洋陶磁美術館」

大阪 中之島堂島川沿いに、
とても落ち着いた心休まる美術館があります。

§ moc 大阪市立東洋陶磁美術館

美術館の窓から眺める堂島川

主に収蔵されている作品は、
東洋の暮らしや美意識を感じさせる
中国、韓国、日本の陶磁器
愛らしい鼻煙壺(嗅ぎタバコを入れる器)です。

そして平常展(常設)で
国宝を拝むことができます。

国宝『油滴天目茶碗』

南宋時代、12-13世紀、大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション) 

ただのではありません。

人と自然が生み出した
茶碗の中をずっと覗いていると
釉薬が結晶化した斑点の色に飲み込まれて
宇宙の中を漂っている気分になります。

§ 光と出会う美術館

以前、館長さんのお話を聴講した時に、

「芸術作品とは
 有名な作家が作ったものばかりではない。」

と仰っていたのが印象的でした。

陶磁器は生活に使われながらも鑑賞もできる、
造形作品としてとても美しいと
こちらの美術館に訪れると毎回実感します。

『鴨型土器』朝鮮・三国時代(4-6世紀)

それは陶磁器が1番美しく見える
展示に取り入れているからかもしれません。

中国、韓国、日本それぞれの国の生活環境や
陶磁器が鑑賞される場所に近づけた照明に調整されているそうです。

『青磁 洗』高麗時代、12世紀、大阪市立東洋陶磁美術館(住友グループ寄贈/安宅コレクション)
 
作られた当時の韓国の室内を思わせる暗めの照明


中でも冒頭の国宝『油滴天目茶碗』平常展示されている2階展示室では、
天窓から自然光を差し込ませる珍しい照明技法を使われているので、
展示ケース内の構造を見るのも楽しみです。

§ 陶磁器の無限の可能性

そして企画展では、
北欧の器竹の工芸品写真と陶磁器のコラボレーションなど…
多岐に渡った展示をされるアグレッシブな一面もある美術館です。

有名な作家の有名な作品を見るというよりも
昔から知っているようでありながらも
新しい存在と出会える、
暮らしを豊かにする展示がされています。

特別展「黒田泰蔵」

訪れた時は、白磁と円筒真理を見出す
陶芸家 黒田泰蔵さんの企画展が開催されていました。

別次元から舞い降りてきたような
神秘的で美しい作品と展示でした。

『壺』『壺』『花生』2003年、黒田泰蔵、イセ文化基金
※著作権の兼ね合いで掲載を削除する場合がございます。

「轆轤(ろくろ)は
 一度きりの抽象絵画を空中に想像する。
 
 魔法のように
 空中に線を引くことができる。」

「アーティストの目的は
 美しいものを作ることではなくて、
 真理をまとめていくことであり…」

黒田泰造

現在も活動されている作家さんの展覧会は、
現在進行形の作家さんの考え方を
共に同じ時代を生きながら理解していく楽しみもあります。

黒田さんは著書も出版されているので、
この機会にぜひ一読してみようと思います。

   特別展『黒田泰蔵 』
場所大阪市立東洋陶磁美術館 
期間2020年11月21日〜2021年7月25日 9時半〜17時 
(最終受付16:30)
「柿右衛門-Yumezurasセレクション」同時開催
※開催内容は変更する場合がございます。
詳細は公式HPか施設へご確認をお願いします。
オフィス街の癒しの場

美術館は美しいものを見るだけではなく、
思考を深めたり、心を落ち着けて瞑想することもできます。

そんな時間の過ごし方にぴったりな
「東洋陶磁美術館」は、
現代人の帰る場所なのかもしれません。


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