– ミュージアムとの思ひ出 –
新型コロナウィルスの影響でミュージアムは休館となり、展覧会の会期は変更されました。
海外のミュージアムでは、財政難によりそのまま閉館となってしまう可能性が出るミュージアムもあるそうです。
再び自由に皆が外出できる時、学びや発見を得る場所があるように…と綴った、勝手きままな鑑賞小咄です(ネタバレ有)。
§ The Museum of Modern Art(MoMA)
ニューヨーク近代美術館
かれこれ5年ぐらい前にニューヨークへ行った時のこと。
観光客や地元民にも愛されるマンハッタンのミッドタウンにある近代美術館 MoMAへ訪れました。
✴︎入り口で止められたバックパック話は別の小話で書くとして…
MoMAは日本人建築家、谷口吉生氏デザインの地下1階から6階までの建物ですが、
現在は増改築してより広くなったようです。
日本で1つの美術館で同時期に開催される展覧会は、
多くても企画展と常設展で3〜5種類ぐらいですが…
海外の大きな美術館は多数の展覧会が同フロアで開催されていて、
1日で見て回るのは至難の業です。
§ 19~20世紀近代美術絵画の波に飲まれる
滞在時間が限られていたので、
とりあえず著名な画家たちが集う、
近代美術の絵画のコレクションが展示されているフロアからスタートしたのですが…
頭の中で創造したジャングルで有名な
アンリ・ルソー『夢』
装飾なし、現実のパンツ一丁男を捉えた
ポール・セザンヌ『水浴図』
精神のぐるぐるに飲み込まれる
ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ『星月夜』
細かく美しい点描が儚い
ジョルジュ・スーラ『オンフルールの夕暮れ』
四方八方を名画に囲まれ続けたのです。
どの作品もその作家の代表作と言える熱気伝わるものばかりで、
観ている方もエネルギーが必要です。
睡蓮の部屋で見る超大作
クロード・モネ『睡蓮の池に映る雲の反映』
日本の直島にある地中美術館のモネの部屋も圧巻でしたが、
これほど大きなモネの作品を見たのは初めてでした。
睡蓮の池の目の前にいる感覚を味わえました。
そしてアメリカの美術館の特徴なのか?
1フロアの中にいくつものギャラリーが点在しているかのような展示なのです。
20世紀以降に没した画家の作品は
まだパブリックドメインでない為、
掲載できないのが残念ですが…
- アンリ・マティス 『ダンス』
- パブロ・ピカソ 『鏡の前の少女』
- サルヴァトールダリ 『記憶の固執』
- ルネ・マグリット 『偽りの鏡』
- フリーダ・カーロ 『Fulang-Chang and I』
- ピート・モンドリアン『コンポジション』
- ジョアン・ミロ『世界の起源』
などなど…数えきれないアーティストと作品が待ち構えていました。
§ モダンアートの洗礼を受ける
そしてやはりアメリカ。
アンディ・ウォーホールを始め、
ロイ・リキテンシュタインなど
ポップアートの作品数も半端ではありません。
日本だったらこれだけで展覧会ができます。
日本でも昨今人気が高い
ジャン=ミシェル・バスキアも
壁一面の大きな作品があって、
これこそグラフィティ(ストリートアート)と言える迫力でした。
✴︎
迫力といえば…ジャクソン・ポロックです。
“One : Number 31,1950”
をMoMAで見なければ、
私はアクション・ペインティングを
勢いのある抽象画と解釈したままだったでしょう。
絵の中にあるのは
人間の型を超える生命力とエネルギーだったのです。
アートに襲われた瞬間でした。
§ 心を繋ぐコンテンポラリーアートとデザイン
MoMAは絵画や彫刻だけではなく、
インスタレーション作品など、
天井が高い展示空間で面白い現代アートの作品を楽しむこともできます。
(現在、MoMAはロングアイランドシティにPS1という現代アートのみを専門とする機関もあり展示をされています。)
私が訪れた時はイギリスの美術家「ギルバート&ジョージ」の作品展示や、
日本でも有名な「オノ・ヨーコ」の企画展が開催されていました。
中でもオノ・ヨーコさんの
“Touch each other”
と書かれた看板のある部屋は最高でした。
部屋に入った人はそのメッセージを見た途端、
国籍も言葉の違いも関係なく手を取り合いました。
感染症が蔓延する中では
実現できない作品かもしれませんが、
私たちは一歩踏み出せば
いつでも心を繋ぐことができるという意味ではないでしょうか。
そしてMoMAはアートと定義される作品だけではなく、
§ 写真やフィルムのコレクションや研究、
そして§ デザイン分野のコレクションと研究にも力を置かれています。
日本のミュージアムは少人数の学芸員とスタッフの方たちが運営されていますが、
海外の大きなミュージアムでは各分野のキュレーターやスタッフたちがプロジェクトを進めているからこそできるコレクションと言えます。
その中で、日本人が普段目にしているモノも展示されていました。
コレクションされるデザインは先見性があるものが多いのですが、
日本人が普段の生活で使うモノが展示されていることに胸が熱くなりました。
遠い海外で異国の食事を食べすぎて、
久しぶりに醤油を舐めた時の感動に似ています。
§ 美術館は出会いの場
MoMAの1階には
「スカルプチャー・ガーデン」という彫刻が展示された中庭があります。
そこで休憩をしていると…
見たことがある方が目の前に現れました。
✴︎
オノ・ヨーコさんでした✴︎
皆に挨拶をされて
一緒にお庭で休憩をされていました。
驚きと喜び、作品と作家が息をする現代アートの醍醐味を味わった瞬間でした。
このような出会いがあるのがミュージアムだと思います。
時代も国も超えて人(作品)と出会う場所なのです。
– ミュージアムを活かす –
本当に財政難でミュージアムが閉館してしまったらどうなるでしょう。
意外性のある学びや出会いを生み出す場がなくなるということです。
インターネットの情報はその人の為に選別された情報の場合が多いです。
自分が知ろうともしなかったこと、
想像しえなかったことと出会える場がなくならないように願うばかりです。
MoMAはデザインストアが日本にもあります。(オンラインストアも)
その売り上げを美術館での活動に役立てているようです。
そんなことを聞くと、またもや買い物が増えそうな予感がしますね。
日常にアートがある生活を🙏